おかる、バーゲンに行く2007/01/12 20:54

やっと腰痛とおさらばできた。おかるの足取りは軽い。

ぎっくり腰のため、初売りではショッピングモールのベンチでお留守番だった。きょうは、バーゲンへ行くのだ。

一張羅のジャケットは、すでにジッパーが壊れてしまったため、新規購入はおかるの悲願でもあった。

そうべえと待ち合わせの時間を決めた。買い物に使える時間は、きっかり30分。

「良いものを買えよ!」そうべえの声が、おかるの背中をぐいと押す。

衣料売り場に駆け上がると、初売りの売れ残りが、魅力的な割引価格で並んでいる。

おかるは、実は買い物が苦手である。普段の買い物の大半も、共同購入で済ませてしまう。

売り場のハンガーにかかった、ジャケットが、どれもこれも、おかるに手招きをする。

頭がくらくらしかけたところで、直感の声に耳を澄ます。

ふと、「わたしを連れて行ってくださいな」という声がきこえた。

声の主は、光沢のついた、モカのダウンジャケット。着心地はふんわり軽く、それでいて暖かい。しかも3割引。

即、このジャケットを家に連れて帰ることにした。すると困ったことに、となりから、「わたしも!」と言う声がきこえるではないか。

アイスブルーの別珍のスーツが、なんと半額・・!

これは、つれて帰るしかないだろう。

大きな袋を提げて駐車場に舞い戻ると、約束の時間を3分過ぎていた。

そうべえの機嫌は、まだ悪くなっていない。おかるはほっとした。

「ジャケットは買えたかい?」そうべえが興味深そうに聞いてくる。

「いい買い物をした!」

良いジャケットに、スーツまで家についてきた。おかるは、いい買い物をしたのである。