田舎の情景2007/02/19 20:32

田舎の軒先を飾る、干し大根。

今年は暖冬なので、湯でこぼした大根をいったん冷凍庫で凍らせ、紐でつるした。

このあたりでは、紐を通すためにあいた穴を見たてて、「へそ大根」と呼ぶ。

2月になって、風もやっと乾燥してきた。今夜も満天の星空である。明朝は、放射冷却で冷え込むことだろう。

星空が美しければ、おかるの機嫌が良い。

外灯も全部消して、玄関わきから輝くオリオンを見上げる。

ふと、裏山から動物の鳴き声がきこえた。

「ホウホウ・・ホウホウ・・」

声の主は、真っ暗な裏山の木々の間にいる。ずいぶん、近くから聞こえる。

ここに嫁に来て、ふくろう(あるいはミミズクか?)の声をこんなにはっきり聞いたのは、初めてだ。

夜の食卓は、子供たちの小さいときの思い出話になった。

「あんたたちがわがままな時、ほら!ホウホウさんが来るよ!といえば、ぴたりとおとなしくなったもんだよ」

「おれ達のときは、ホウホウさんだったけど、こいつには効き目が無くて、コンコンさんになったっけな」

兄の暴露に、末っ子が首をすくめる。皆の心が、ひととき、なつかしい思いに包まれた。

外では星が輝き続ける。明日の朝は、大根も良い凍み具合になるだろう。ふくろうは、あたたかい木の虚でも見つけただろうか。