お祝い2007/03/01 20:17

今日は、息子の卒業式。そして、一足早いひな祭りで、ちらし寿司を作った。

そうべえは、PTA会長として祝辞を述べる。

前々日から原稿を練った。

「あれだけお母さんにぼろくそ言ったんだから、お父さんはびしっと決めるよね」

悩む父の姿に、息子も同情と哀れみを隠せない。

さて、息子の卒業証書授与も終わった。

満を侍してそうべえの登場である。

ふむふむ、なかなかの出来である。先日の恨みは差し引いて、95点をつけてやった。

肝心のそうべえは、壇上から息子が肩を震わせて笑う姿が目に入り、多いに狼狽していたらしい。

あっという間の高校3年間。いろいろな意味で、子にとても親にとっても、1つの卒業であった。


旅立ち2007/03/02 09:13

昨日が息子の卒業式。息子の新たな旅立ちである。

今日も、一人旅立ったものがいる。

中学生の娘が、姉妹都市派遣事業として、アメリカのインデイアナ州の片田舎へ、ホームステイの旅に出かけた。

毎日の学校行事に追われ、昨日までスーツケースも空っぽのまま。

「あれがない・・!これがない・・!もうだめだ・・!」と、嵐のように家中をかきまわし、なんとか荷造りが完了したのは夜の10時。

朝は5時に起きて、余裕を持って集合場所の市役所へと出発する。

ところが!途中で娘の小さな叫び声。

「やば!パスポート忘れた!!」

朝焼けにそまる美しい空の下、必死で家に折り返し、5分遅れで集合場所へゴール!

引率のかたがたに、何度も頭を下げて回る。

市のバスはニコニコ顔の娘達を乗せて、空港へと出発した。

家にもどると、娘の机がやけにカラーんと片付いていた。

これからの我が家の12日間は、きっと静かだろうな・・。

おいらは腕白!2007/03/03 18:40

元気ものの子牛がいる。

自分から冒険の旅に出る子牛はめったにいないが、他の大人に追い立てられた拍子に、柵の隙間からぽんと外へ飛び出してしまうことは良くある。

母牛はすぐさま、「直ちに戻れ!」と呼び立てるので、子牛は程なく母牛のそばへ帰ることが出来る。

中には、外に飛び出るのに味を占めて、自由に動き回る子牛も出てくる。母牛の説教など、どこ吹く風である。(人間も同じだなあ・・)

写真の子牛は、柵の外にぐるりと回って、他の牛たちを眺めるのが大好き。

柵の外なら、意地悪な大人牛も手出しが出来ない。それが分かって、「へへ~ん!」と眺めているようでおかしい。

毎日少しずつ行動範囲も広げ、昨日はお隣の庭の近くまで足を伸ばした。

「あんた、いくらなんでもありゃ調子に乗りすぎだよ」

おかるも気がもめる。

「10日に離乳だ。もう少しの辛抱だ」

そうべえも、苦い顔をして肩をすくめる。

10日になったら、腕白者の子牛も母牛と離される。どんなに鳴いても母牛の元には戻すことはない決まりだ。

おかるは、無邪気な子牛がちょっぴり不憫に思えた。離乳の日まで、腕白仕業に、片目をつぶってやろう。

おかる、薪割りをする2007/03/04 17:23

大学の行き先も何一つ決まらぬ息子は、ただいま宙ぶらりん。

暇人でもある。ゆえに、じっちゃんから声がかかる。

「ちょっくら、すけて(助けて)けろや」

昨日は3時間もの間、息子は汗を流し、薪割りにいそしんだ。

都会の真ん中なら、カラオケやゲーセンと、遊ぶところはたっぷりあるだろうに。田舎の子供はそうは行かない。息子の同級生も、大学が決まった時点で即、農作業の戦力に迎えられた。

「薪割り、意外と面白かった。芯の茶色の木は栗の木って言ったかな。スパッと割れて気持ちが良かった。芯まで真っ白の木は固くて、なかなか割れずに苦労した!もう、全身筋肉痛だ~」

「面白そうだな。やってみっぺか?」

おかるも、息子の話に興味津々。薪割りに挑戦することになった。

息子が、一番たやすく割れる木を探して地面にセットしてくれる。

おかるは、斧を上から振り下ろす。

パン!小気味良い音がして、薪はすっぱり割れた。

「あのね、てこの原理って知ってるでしょう?こうやるの」

息子は薪わりのデモンストレーションまでしてくれる。その上、じっちゃんに教えてもらったことを教えてくれた。

「おかあさん、『たがの木』と『うしごろしの木』知ってるか?」

「ええー!、『たがの木』と『うしごろしの木』とな?」

なんとも物騒な名前の木があるもんだて・・。

さてさて、続きはまた明日。

たんがらの木とうしごろしの木2007/03/05 20:15

写真中央の白い切り口の見える丸太が、「うしごろしの木」。

なんともすごい名前だが、これで牛を殺そうというのではない。

固く粘りの強い木で、割れにくいために、斧の柄に好んで使われる。別名、カマツカ。バラ科の木で、可憐な白い花を咲かせる。

名前の由来は、昔、カマツカの枝を牛の鼻に通し、鼻輪を作ったところによるらしい。「鼻冠あるいは鼻輪」は、牛の急所でもある。鼻冠にぐっと力をこめてねじ伏せれば、牛はぐうの音も出ない。

それにしても、迫力のある名前だ。

もう1つ、めずらしい木の名前も教えてもらった。(写真にはありません・・)

「たんがらの木」。このあたりでは、物を背負うことを「たがく」と言う。たがくためのかごを編んだ木が、「たんがらの木」だ。

じっちゃんの話では、どこぞに「たんがら森」という森があるそうだ。ちょうど、背負いかごを逆さに伏せた形に似ているので、その名前がついたそうな。

ふと、宮沢賢治の「ざる森、狼の森、盗人森」のお話しを思い出した。

山の中にも、豊かな言葉が転がっている。

夢まぼろし2007/03/06 20:30

昼食を食べお茶を飲み、ちょっとひと息横になる。

ふと、視界にとびこんできたのは、紫も鮮やかなチラシ。

ぼんやり、字ずらを目で追う。

「美川憲一コンサート・・・3月4日・・・。はっ!」

おかるとそうべえが、会員になっている隣の市のコンサートホールの記念事業で、美川憲一のコンサートが企画された。

そうべえは興味が無いという。チケットももったいないので、じっちゃんに勧めてみた。

「話の種に、どうだべ」

じっちゃんは、初めは渋っていたが、物は試しにとついに乗り気になった。行くと決めた日に、カレンダーの横に画鋲でチラシを留めておいたのだ。

それから流れた2ヶ月の月日。

おかるの頭の中は、息子の受験とメリケン国に行っちまった娘のことでいっぱい。コンサートのことは吹き飛んでしまっていた。

「じっちゃん、堪忍してけろ・・・美川憲一、終わっちまった・・」

「ありゃあ。そりゃ、大失敗だなや」

じっちゃんは、本当に残念そうだった。おかるは、無い知恵を絞って考えた。

(そういえば今度の日曜の講演会のチケットがあったな。内閣官房補佐官の中山恭子さん、じっちゃんいくべが・・・?)

「あんたも、おばかね!」

おかるは、一瞬、美川憲一の声が聞こえたような気がした。

ババベソ2007/03/07 20:24

今日は、農業公社主催の視察研修へ。

2箇所の直売所を見学。野菜の陳列や、加工品の販売について勉強する。

お昼は、農家レストランでお食事。

メニューは、「ほっきめし」「たらの蒸しあんかけ」「野菜の煮物」「りんごのババロア」。

海に近い土地柄を生かしたホッキ飯は、とてもおいしかった。野菜も米も、自分の家で生産した物を使う。先進的な農家の取り組みについて、オーナー自ら講義までしてくれた。

研修に参加したのは、農家のおばちゃんたち10数名。煮物の三角こんにゃくと凍み大根をいただいているときだ。

「この凍み大根、ババヘソって言うんだどな」

だれぞが、口火を切る。

「なんだべや~。この辺で、ヘソ大根って言うのは知ってだげんと」

「ジジベソではだめなのがや?」

「やっぱ、ババベソでなくてはわがんねんだべ」

へんな納得をしながら、煮物をいただいた。

なんのなんの、ババベソ大根の美味い事!じっくり味がしみて、人生の醍醐味をたっぷり吸い込んだ、豊かな味がしましたわい!