そうべえ、山菜採りの翁となる2007/05/02 20:57

しばらく前から目をつけておいた「ぜんまい」。

「おかるや、ぜんまいのこしらえかた、知ってるか?」

「うんにゃ、知らないよ。でもまかしとき!インターネットで検索しとくから」

おかるの言葉を信じて、そうべえは、牛舎わきの山に、ぜんまい採りに出かけた。

急勾配の山にへばりつくようにして、登っていく。

あったあった!腰に結わえたかごの中に、摘んだぜんまいを入れていく。

お!今度は、たらの芽だ。やや!山ウドも出ている。

そうべえは、腰かご一杯の山菜に、ほくほくで家に帰った。

晩御飯ぎりぎりに、おかるが母屋にやってきた。鍋を火にかけ、ぱたぱたと忙しく味噌汁の用意を始めた。

そうべえは、おかるの背中越しに声をかける。

「ぜんまい、とって来たぞ」

「え?!今からこしらえろって言うのかい!?」

おかるの声はとがっている。そうべえの前に、急ごしらえの味噌汁が、とん!と置かれた。

そうべえは味噌汁の色をまじまじと見つめる。はっきり言ってうすい!

そうべえは、塩味の足りない味噌汁とともに、文句もぐっと飲み込んだ。

晩御飯がすんでも、台所ではおかるが忙しそうに動いている。ほどなく、

「ぜんまい、ばっちりこしらえたよ!」

大仕事をしたとばかりの、おかるの声。山菜採りの翁は、ほっと安堵のため息をついたのであった。

コメント

トラックバック