生きる2007/11/25 21:00

庭にいくつか残る、くもの巣とその主。

このところ、真冬並の寒さが続いた。

かんかんに霜の降りた朝、おかるは棒切れで主をつついてみる。

案の定、ピクリとも動かない。

「この寒さじゃ生きていけないべな・・」

それにしても、どの蜘蛛も巣の中心にその身を置いている。おかるのなかに沸き起こる、同情の念。

(もっと暖かい、木陰にでも隠れれば寒さをしのげたのになあ・・)

そして、今日は昨日までの寒さがウソのような暖かい日。

テラスでコーヒーをすすりながら、そうべえに、事切れた蜘蛛の話をすると・・・・

「あいつら、生きてるよ」と、そうべえ。

「まじ?}と、おかるが棒切れでつつくと、確かに動く。生きている。

相変わらず、巣の中央に陣取り、獲物がかかるのをじっと待っている。

「あいつら、死ぬまで食う気だよ」

そうべえの言葉が、おかるの胸にずんと響く。

庭の片隅にある小さな命に、生きることを教えられた。