祈り2011/08/22 16:52


早朝から、某雑誌の取材。
するのではなく、受けるほうでした。
放射能禍に苦しむ肉牛農家として、現場を見てもらいました。
編集のHさんやカメラマン様からも、いろいろ貴重なお話が聞けました。
その中で、そうべえの口から「祈り」という言葉が出ました。
「農業は、祈りの行為なんだよ」
その言葉が、そのまますとんと私の胸に落ちました。
「生産」が、どんなに大変なことか、農家は体で知っています。
無事に子牛が産まれてくれますように、良い牛になって、食べる人に喜んでもらえますようにと祈る・・そんな繰り返しです。
冷害や災害に泣くたびに、来年こそは豊作になってくれと祈る・・そんな繰り返しです。
孫子の代の幸せを祈って、100年先を見越して木の苗をうえ、田畑を耕す・・そんな繰り返しです。
荒ぶる神をなんとか鎮めながら、恵みをいただくという祈りが、農家の心には流れているんだなあ・・と思いました。
今は、そんな祈りを共有できる場面が、少ないように感じます。
多くの人が生産の現場を離れ、たくさんの選択肢の中から、自分価値観にあったものを選び乗り換えていくスタイルが、もっと価値のあることになっているからです。
先日、我が家のお米を契約していただいているお客様に、米の検査結果がでたらすぐにお知らせする旨のお手紙を出しました。
「お米に放射性物質が出ないことを祈っています」と、偽らざる気持ちを書き添えました。
「応援しています」というお返事には、心からありがたいと思いました。
もちろん、食の安全のために、生産者もリスク管理をしていかなければならない現実は、肝に銘じています。
でも、自分にとって、祈りのなかで日々生産に専念することに、何の揺らぎはないのだと思いました。