さよ 12歳の刺客2018/11/15 09:08

森川成美さんの「さよ 12歳の刺客:くもん出版」
主人公の「さよ」は、壇ノ浦の戦いから、ひとり生き残った平家の姫です。
平家を滅ぼした源の義経への復讐を胸に、弓矢馬術の腕を磨き、ついに、義経が落ちのびた平泉:藤原泰衡の館で、再会を果たします。
義経の命を狙いながらも、息子の千歳丸や義経と接するうちに迷い、葛藤を繰り返します。
やがて、義経討伐の軍が平泉に攻め入った時にさよがとった行動とは・・!
「もし・・だったら」は、まさに物語の醍醐味。
その醍醐味を味わうことができるのも、細部まで行き届いたリアリテイ―があってこそだと思います。
東北の人間としては、寝殿に上がるための段に、左に桜があるが橘が無いことに、さよが気づく場面に興味をひかれました。
源氏も平家も同じ人間であること。
そして、p229:日々くりかえされるこのことこそが、人が、生きているということなのではないのか。・・このフレーズも、強く心に残りました。
森川さんの描く、戦うヒロインは、心の傷を抱えながらそれに向かい合い乗り越えようとする強さ(時には弱さも)を持っていて、ひきつけられます。

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