泣いた牛2011/02/11 19:54

泣いた牛(てらいんく)を、著者の高橋文子さんより送っていただいた。
八丈小島での子供たちの暮らしが、生き生きとえがかれている。
高橋さんは、漆原智良先生の教え子でもあり、本土へ移住されてからは、詩集も刊行されている。
スカートの端を持って、魚を捕まえる情景など、読んでいてこちらの心まで浄化されそうだった。
短編集の最後を飾るのが、タイトルにもなった「泣いた牛」のお話。
牛は涙を流す・・・・。
その涙を受け止める心の優しさがいとおしい1冊です。

きらきら宝石箱2010/10/09 15:26



アンソロジー「きらきら宝石箱:プリンセスがいっぱい」[ぶんけい堂)に、お友達のSAFFIさんの「前世うらない」が収録されています。
力のある筋立てで、ぐいぐい引き込まれます。面白かったです!
同じく「同時リーズ:夢とあこがれがいっぱい」には、仙台在住の椋鳩十賞受賞作家ROKUさまの「バラ縁の魔女」が掲載されています。
ROKU様ならではの洗練されたファンタジー仕立てのお話。
憧れるなあ…こういう世界、ROKU様の作り出す魔法です。
表紙もキュートで、女の子なら手に取りたくなりますね。
おふたりとも、おめでとうございます!

*短編を一つ推敲終わらせる。もう一つの短編の構想を練る。いつまでにこれを終わらせて・・と、予定も立ててみる。(計画倒れになるなよ!と、自分に喝!)

はやぶさの大冒険2010/09/24 08:34


わが市にやってきたカプセルは見れなかったが、本だけは読んだ。
「はやぶさが小惑星をピタリととらえるのは、東京から2万キロ離れたブラジルのサンパウロの空をとんでいる体長5ミリの虫に、弾丸を命中させるようなもの」・・・本当にすごいことなのだ!
小惑星には、炭素が主体のCタイプ、石英質が主体のSタイプ、鉄やニッケルのMタイプがあり、はやぶさはSタイプであった。
地球を利用して方向転換と加速も行う「スイングハイ」という航行。
イオンエンジン、中和器による画期的生還。
科学者の英知が結集するスタッフは、最後には中和神社のお札を飾ったという、神頼みがほほえましい。
日本人独自の視点が、意外なところにも使われていた。
イトカワに着陸する際、地面に落とすマーカーには、引力の小さい地面からの跳ね返りを防ぐためにお手玉の原理が使われた。
帰還したカプセルのふたを、上空から探査する訓練には、赤外線を出す湯たんぽも使われた。
一時は交信も途絶え、宇宙をさまよったはやぶさ・・・・。
おかるの頭も、専門的な記述になんどか意識を失いながら、無事最後には、はやぶさとともに地球に生還した!

のみのみさん2010/08/11 16:36



「お友達ののみのみさん「三野誠子さん」が、福島賞大賞受賞作「エレベーターは秘密のとびら」で、デビューされました。

おめでとうございます!!!!!

石崎洋司先生から、公募ガイドでも、「文章に光るものがある」と、絶賛されていたのみのみさん。

満を侍してのデビューです。

アイデイア、わくわく感、どれをとっても子供向けのSFにぴったり。(ネタばれになるので、かけません(涙)!ぜひお読みください)

数年前の公募ガイド社の講習会でお会いした方々が、こうしてどんどんデビューしていきます。

思い返すに、本当に、すごい方々が集った講習会でした。

のみのみさん、本当におめでとう!

建具職人の千太郎2010/07/14 18:01



建具職人の千太郎(.岩崎京子著)を読む。

時は江戸時代、建具屋に、わずか8才で奉公に出た千太郎と姉を主軸にした、人情物語。

建具の細工や木の使い方など、専門用語もたくさん出てくるのだが、とても読みやすい。

どれだけ取材を重ねられたのだろう。

不器用な人間が、まじめに生きることの美しさが、まっすぐに伝わってくる。

著者の岩崎先生は、まもなく米寿を迎えられるという。

著者の人間の深みが、そのままにじみ出ているような気がする、作品だった。

身につまされます・・2010/06/28 22:22



家族の勝手でしょ!:岩村暢子 著(:新潮社)を読む。

お菓子で朝食、夫と妻の昼飯格差、餌場と化した食卓。子供より「私」が大事な主婦の作る食事・・・。

数百枚に上る各家庭の食卓の写真で示した、10年以上に及ぶ徹底的な食卓調査は、説得力がある。

「これはひどいな~」と思いつつ、わが身にも覚えがあるような・・・。

身につまされます・・・。

もうひとつの本は、東京都の管理栄養士、幕内秀夫さんが書いた「変な給食」。

全国の給食献立表からチョイスされた、よりすぐりの変な給食を再現した写真には、思わずのけぞる。

それに、[突っ込みか!]いいたくなるような、ユーモアあふれるキャッチコピーが,
くすりと笑わせてくれる。

しかし、笑いの裏に潜む、深刻な問題が・・!
酢豚とジャムトースト、豆腐のカレー煮とココア揚げパン、「甘食、キムチラーメン、キャベツとソーセージの蒸し煮」という組み合わせはミラクルである。

でもどことなく身に覚えがあるところが、居心地悪し・・・。

ちゃんと料理しなくちゃ!と思わせてくれる本です。

ビジネスマンの父から息子への30通の手紙2010/06/10 21:29



どうした経緯か、20年も前のベストセラーを図書館にリクエストしていた。

 とりあえず、読んでみた。

本書は、ビジネスマンとして成功を収めた著者が、同じく企業家を目指す息子へ宛てて書いた手紙をまとめたもの。

自分の失敗談もまじえながら、愛に満ちた教訓が、面々とつづられている。

これを読む息子って・・!やっぱり、エリートは親子関係からしてちがうんですねえ。

成功とか、エリートというものと無縁の身にとっては、さして心に響くものはなかった・・。

「読書の価値」という項目には興味を持ったが、「世の中には、原爆の投下、月面の歩行、それにコンピューターの発達といった科学的な進歩を・・」というくだりに、思わず目をむいた。

アメリカ人にとっては、原爆の投下とは、そういったとらえ方だったのだろう。

「読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする」・・・・という、フランシスコ・ベーコンの引用だけが印象に残った。