黄砂2007/04/01 21:14

強い風で吹き荒れた。黄砂で景色がかすむ。視界が薄ぼんやりする。困ったことに、やたら鼻水も出る。

一日がかりで、なんとか息子の引越しの準備が出来た。

車の上に、ふとん袋も積んだ。とりあえず運ぶ荷物も、車の中に納まった。明日早くに出発し、彼の生活の基盤を整えてやる。

がらんとした息子の部屋を覗き込んで、はっとため息が出た。

洗面器やらこまごました買い物をしながら、息子に冗談めかして言っておく。

「明日は、お母さん、大泣きさ」

「・・・」息子は迷惑そうに横目をくれる。

今日がやたら涙目になって視界がかすんだり、鼻がぐすぐすいうのは、黄砂のためだけではないようだ。

おばさん走る2007/04/02 23:33

息子の引越しのため、高速を片道2時間半走らせての強行軍。

長女も新幹線で応援に駆けつけた。昼ごはんもろくにとる間もなく、作業に追われる。ランドリーラックを買ったのが運のつき?超難解パズルを解くが如し。つい、そうべえと息子が組み立てに燃える!

牛が待っているので、なんとか4時に大まかな作業を終え、親だけが先に帰ることになった。

そうべえが、大学の研究室に寄っていくという。おかるは、その間、大学生協へ食料の調達に行く。

大学の構内を走った。

(そうそう、30年前も、ここを走ったっけ!)

気分はすっかりタイムスリップ!ところがところが・・

(あれ?足が重い・・。息切れする・・。が~ん!)

走っている自分は、しっかりおばさんだった。

M市の皆さん、今度は息子がお世話になります!よろしく!

新生2007/04/03 21:16

今日は午後から、服務宣誓式に出席。

新しく赴任される先生方、校長教頭会そして教育委員会が一堂に会す。

新採用の新人先生が、一人ひとり、宣誓をする。

緊張の面持ちで何度も深呼吸を繰り返す様子が、なんとも初々しい。初めての勤務地での「出会い」が、子供、地域住民そして先生自身にとって、実りあるものであって欲しい。

式が終わり、家に帰る途中、ふらふらと和菓子屋さんに寄った。

桜餅と鶯餅を求める。

「さくらもちと、うぐいすもちを4つずつください・・・」

そう言って改めて、今までの「5つずつください」から家族が一人減り、「4つずつ」になったことを、かみ締めた。

夕方、息子から「一人暮らし順調」とのメールが入る。

凡庸なようで、実は毎日が、新しいこととの出会いにちがいない。

だがとりわけ、今ほど、新しいことにふさわしい時期はないだろう。

程よい甘さのこし餡がたっぷり入ったウグイス餅は、「新生」の味がした。

山桜膨らむ2007/04/04 20:50

今朝は放射冷却で、一面に霜が降りた。

真っ白に姿を変えた道端に、梅の花びらがはらはらと落ちる。

朝日を浴びて、霜がキラキラ輝くそばで、プリムラや水仙の花が、じっと寒さに耐えてうつむいている。

真っ青な空と明るい太陽のおかげで、風が冷たいわりに、気持ちはどことなく春めいている。

カーラジオの声が、耳に飛び込んできた。

「今日も寒いねえ。あったかいと感じるのは、仙台じゃ、一年の4分の一ですよ」

花冷えの春ガ杉、暖かくなるのは確かに5月あたりから。6月の梅雨寒に、ヤマセの風が吹き、暑い夏は8月のほんのひと時。4分の一はさすがに言いすぎにしても、暖かい時期はたしかに短い。

そんなことを考えながら、視線を山に移すと、そこかしこの山桜が、うす紅色にかすんで来たのに気づく。

ソメイヨシノの豪奢な桜も好きだが、山桜も格別である。

春が、いとおしく感じられた。

身軽な日2007/04/05 20:19

今朝も霜が降りる。

霜とつくしんぼうの取り合わせが、なんともけなげだ。

霜は降りるが、もはや雪は降るまい。

やっとこさで、車の冬タイヤを交換した。

今年は、本来の力をほとんど発揮することなく、ただタイヤが磨り減っただけの冬だった。

ノーマルタイヤになって、車が身軽になったところで、子供たちの学費の支払いに回る。

財布のほうも、羽が生えたように軽くなった。

今日の予定も軽めだったので、図書館でどっさり本を借りた。

地元の図書館では、一人が一度に、10冊借りることが出来る。

家に帰って、児童書を2冊読んだ。

(そうだ、童話ってこう書くんだっけ・・!)

久しぶりに、心がふわふわ軽くなった。

ハナちゃん捕り物帳2007/04/06 20:30

「たいへんだ!ハナが逃げているぞ!」

おかるが部屋の片づけをしていると、玄関からそうベえの声。

我が家では、牛だけでなく、犬も逃げる。

「首輪がぼろになって、ちぎれてしまったらしい」

そうべえはぼやきながら、ハナちゃんにむけて口笛を吹いてみる。

逃げたやからは、おかるとそうべえにまかしとき!逃亡牛でさんざん経験をつんでいる。

おかるは、冷蔵庫から「生協ハム」を一枚取り出す。念のため、ビールのつまみ用の裂きイカも一本用意する。

自由になったハナちゃんは、興奮状態。家の周りを縦横無尽に走り回る。そうべえがいくら声をかけても、そばによってこない。手にした捕獲用ロープが、見え見えなのだ。

「ほれほれ、ハナ!ほれほれ!」

おかるが、そうべえの足元に、裂きイカを放り投げる。

ご馳走と自由うを秤にかけりゃ、ハナちゃんにとって答えは明快。あぐり!とイカを食べ、猛ダッシュで逃げる。

こんなとき、あせりは禁物。何食わぬ顔で、ハムを細かくちぎり、そうべえの足元にばらまく。

(いけない!食べちゃいけない!でも、ちょっとだけなら・・!)

ハナちゃんの葛藤が伝わってくる。とどのつまり、ハナちゃんは、ご馳走の魔力に勝てなかった。

十分ハナちゃんをひきつけたところで、そうべえがばっと股の間にハナちゃんを挟みこむ。おかるも、ハナちゃんの前足を押さえ込む。

そうべえが首にロープを回し、ついにハナちゃんはお縄になった。

牛と犬なら任しとき!え?熊は・・!?

そいつはどうか、ご勘弁!

カタクリ2007/04/07 20:30

今日は暖かな日。久しぶりに、春が戻ってきてくれた。

陽気に誘われ、庭の草削りなどする。そこへ、近所のおひでさんが、孫のベビーカーを押しながら通りかかった。

「なんだって、カタクリの花がいっぱいでったごとなや」

牛舎わきの山腹に、かたくりが群生しているという。去年もポツリポツリと出ていたが、今年は花数もぐんと増えた様子。

さっそく、カタクリの花見に行った。

確かにおひでさんの言う通り。赤紫の可憐な花が点々と見える。

急勾配の山にへばりつくようにしてカタクリの花にちかづく。、枯れた草や枝をかき分け、一輪をデジカメに収めた。

家のすぐ近くに、カタクリの群生があるなんて、ちょっと贅沢な気分になった。