おつかい・たい夢2008/04/01 20:41

強風の一日。夕方、娘と服を買いに出かける。

ふと、道路端に、たい焼きののぼりを発見。

お友達のブログに紹介してあった、巷で噂の「ぱりぱりたい焼きのたい夢」だ。仙台では、行列が出来る人気だという。

「帰りに、さがしてみっぺ」と、とりあえず買い物に専心。

と、レジに向かったおかるの目の前に、7歳ほどの少年が飛び出した。

「このあたりに、たい焼きのお店がありませんか?!」

「え?ああ・・それなら、ここの先、○○店の隣よ」戸惑うレジのおねえさん。

「ありがとうございます!」

少年は、元気に飛び出していった。おかるは、大急ぎで少年の行く先を追跡。

少年は、小さな妹と一緒だった。強い風によろめきながら、自転車でたい焼き店をめざす。

車の強みで、おかるが一足先に店に到着。あんことクリームを買い求める。そこへ・・

「わあ!作ってる、作ってる!」妹が店にとびこんでくるなり、実演コーナーにかじりついた。

「こら!だめだよ」たしなめる少年の声は、うれしそうにはずんでいる。

「じいちゃんとかあちゃんは、あんこだべ・・・」

二人の相談がおかるの背中越しに聞こえてくる。

たい焼きのつつみを胸に店を出がてら、おかるは幼い兄妹の顔を振り返った。

茶色のジャンパーの兄に、白いオーバーコートの妹は、期待を胸に財布を握り締めていた。

帰りは向かい風でしんどかろう・・・。家に着いたなら、家族が二人のお使いを、笑顔でむかえてくれるだろう・・・。

「たいやきたい夢」で、暖かい夢心地を味わった。

心眼2008/04/02 21:13

今夜のメニューは、末娘のリクエスト献立。

白菜の葉の間に、紅鮭を薄く切って挟み、スープで煮込んだもの。

鮭の旨みだしと塩味が、白菜の甘味をいっそう引き立ててくれる。

とろりと飴色に煮あがった白菜を、皿にもりつける。

とそこへ、神社のお祭りでほろ酔いかげんのじっちゃんが、台所に入ってきた。

食卓を見るなり「お~!これはこれは!」と大感激。

「じっちゃん、そんなに喜んでくれたのけ?」と、おかる、胸がじんとする。

うれしそうに白菜にかぶりついたじっちゃんだが、決まり悪そうに苦笑い。

「あれ!?白菜かや・・・。てっきりふかひれかと思った・・・・」

(おらの財布から、ふかひれは出てきません!)

でも、おかるの胸は、またじんとした。

「えがったな、じっちゃん。心眼のおかげで、幸せが味わえたべ?」

梅の原パーティーへようこそ2008/04/03 21:41

今日のおかるさん、暖かな陽気に誘われて、近所へ配り物に出かけました。

畑も土手も、花盛り。足元から甘い匂いが立ちのぼってきます。

とりわけ、満開の梅の花の、なんとかぐわしいこと。

おかるさんの頭に、ふとなつかしい思い出がよみがえりました。

おかるさんが嫁に来たばかりのことです。

近所の女の子が、手紙を届けに来てくれました。

「こんど、梅の原パーテイーをします。来てください」

(まあ!何があるのかしら!)

新しい土地で戸惑うことばかりのおかるさんでした。かわいい招待状に、心が躍ります。

約束の日に、待ち合わせ場所に行くと、女の子が二人待っていました。

「おかるさん、こっち、こっち」

二人の案内で、小高い山を登って行きます。

しばらく行くと、そこは一面の梅畑。

「おかるさん、ここに座って、下を見て」

おかるさんは、息を飲みました。梅の花にかすむ先に、自分の嫁いだ部落が一望できるのです。

「ね!ここの景色は最高でしょう?私たち、時々ここで梅の原パーテイーをするの」

そこには、豪華なご馳走もありません。でも、なんとも贅沢なパーテイーでした。

おかるさんと二人の少女は、静かな空間と、梅の香りをたっぷり味わうことができたのでした。

おかるさんは、先日、あのときの少女の一人と会ったことも思い出しました。

もうすっかり大きくなって、梅の花の精かと見まごうほどの、美しい乙女の姿でした。

田舎のブーテイー2008/04/04 20:16

都会のおしゃれな女の子なら、ブーツやブーテイーは欠かせないアイテムだろう。

田舎の女の子に欠かせないのは・・・・やっぱ、長靴でしょう!

末娘は、春休みに入ってから、父親の牛舎に通い、わらやりをお手伝い。

始めは甘く見て、スニーカーで出向いていたが、親が騒がなくても、仕事が彼女に何が必要かを悟らせてくれる。

今では長靴に作業用スエットスーツというファッションを着こなし、時給500円の仕事に精を出す。

女の子雑誌、「CUTIE」、「NONNO」編集部の皆様、

たまに、こんなファッション特集はいかがですか?

牛小屋に咲く花2008/04/05 22:24

お昼の用意をしていると、近所のきえいさんが、やってきた。

「べこさ、食わしてけろ」

軽トラックの荷台には、畑から引き抜いた菜っ葉がどっさり。

トウが立ち、菜の花まで咲いたのを、片付けたという。

牛たちも香りの良い菜っ葉に、大喜び。

もう80に手が届くというきえいさんは、、奥さんと二人暮らし。

畑で見事な野菜を作り、せっせと箱につめては子ども達に送っている。

いつも二人で畑仕事をしている姿は、まさにオシドリ夫婦。

黄色も鮮やかな花を見て、おかるの胸に去来する想い。

(おらも、あんな年のとりかたしてえもんだな)

きえいさんのおかげで、殺風景な牛小屋に、一気に花が咲いた。

なずな2008/04/07 20:56

今日は、隣町で総会があった。

この日の、閉会のごあいさつは隣市のT先生。

T先生はお話がとてもお上手で、おかるはいつも楽しみにしている。

おりしも今日は、桜の花がほころび始めた。

桜を愛でて見上げる人々。そこで、T先生は、芭蕉の句を引用する。

「良く見れば なずな花咲く 垣根かな」

あでやかな花ばかりでなく、野辺の小さな花にも美しさを見出しましょう。足元をしっかり見据えて事に当たっていきましょう。

T先生のおかげで、桜の開花の喜びとともに、なずながこのえうなく愛おしく思えた。

春の嵐2008/04/08 22:47

今日末娘の高校入学式。

ここにたどり着くまで、山あり谷あり冬眠アリ・・・・。

昨日までのぽかぽか陽気が打って変わり、朝から暗雲垂れ込める。

昼から土砂降り状態となり、玄関を出るや、雷鳴が鳴り響き風は吹き荒れ、とんでもない状態に!

学校に着くと、ひとまず雨が小康状態になったものの、駐車場の校庭はぬかるんだ泥プール。

ヒールは泥にのめりこむわで、よたよた歩きながら会場へ。

低気圧が運んできた寒気で、体育館は底冷えがする。〔ホッカイロをもってきてよかった・・)

波乱の入学式となったが、希望に膨らむ桜の蕾たちに、ほっと胸をなでおろしました。