梅の原パーティーへようこそ2008/04/03 21:41

今日のおかるさん、暖かな陽気に誘われて、近所へ配り物に出かけました。

畑も土手も、花盛り。足元から甘い匂いが立ちのぼってきます。

とりわけ、満開の梅の花の、なんとかぐわしいこと。

おかるさんの頭に、ふとなつかしい思い出がよみがえりました。

おかるさんが嫁に来たばかりのことです。

近所の女の子が、手紙を届けに来てくれました。

「こんど、梅の原パーテイーをします。来てください」

(まあ!何があるのかしら!)

新しい土地で戸惑うことばかりのおかるさんでした。かわいい招待状に、心が躍ります。

約束の日に、待ち合わせ場所に行くと、女の子が二人待っていました。

「おかるさん、こっち、こっち」

二人の案内で、小高い山を登って行きます。

しばらく行くと、そこは一面の梅畑。

「おかるさん、ここに座って、下を見て」

おかるさんは、息を飲みました。梅の花にかすむ先に、自分の嫁いだ部落が一望できるのです。

「ね!ここの景色は最高でしょう?私たち、時々ここで梅の原パーテイーをするの」

そこには、豪華なご馳走もありません。でも、なんとも贅沢なパーテイーでした。

おかるさんと二人の少女は、静かな空間と、梅の香りをたっぷり味わうことができたのでした。

おかるさんは、先日、あのときの少女の一人と会ったことも思い出しました。

もうすっかり大きくなって、梅の花の精かと見まごうほどの、美しい乙女の姿でした。