にんじんだもの2007/04/14 20:11

我が家には、ただ今人参がどっさり。

冬から春にかけて、成長をじっと待っていた人参だったが、結局育ちきれずにトウが立つ前にと、一気に掘り起こされた。

何とか、美味い物を作れとの至上命令。おかるは、人参料理を作りに作った。

するめイカと千切り人参を醤油で漬けた「いか人参」

玉ねぎスライス、千切り人参、ツナとマヨネーズを合わせた、「人参サラダ」

人参すりおろしと刻み胡桃をパウンドケーキの材料に加えた、「人参ケーキ」

人参とごぼう、じゃこの「かきあげ」

人参とごぼうに白ごまとラー油を効かせた、「きんぴら」

そして極めつけは、人参、ジャガイモ、玉ねぎを固形スープと牛乳で煮込み、ミキサーにかけた「人参スープ」

そうべえが、寄り合いに行く前に腹に何かを入れていくという。

おかるは、さっそく、新作の「人参スープ」を出した。

「ほうほう、これは珍しいな・・」

そうべえも、興味深深。ズズズウと、一口食べたところで、おかるを見やる。

「これさあ・・・。昔給食で食べたスープに似ているな・・」

そうべえは、スプーンをポチャリとスープに落としてため息をついた。

「どうしても、そのスープが飲めないってやつがいたっけなあ・・」

おかるは、そうべえの声に、困惑と悲しみの色を感じた。

(そうざんすか。あなたの心も、人参スープを飲みたくないって苦しんでるんですのね)

確かに、ほめられた味ではなかった。おかるは、今日の人参スープに、「悲しみのスープ」という名前をつけてやることにした。

まずくったっていいじゃあないか。

にんじんだもの。