家出娘のご帰還2007/05/12 20:49

朝6時、電話がなる。お隣の、おしげさんからだ。

「お宅の牛が、うちの庭にいるんだでば!大変なんです!」

おしげさんが、「ですます調」を使うときは、怒り心頭のときである。これは緊急事態、まさに大変なんです!

おしげさんのところへ菓子折りもって行かねばな,とおかるは気もそぞろ。そうべえとあわてて外へ飛び出すと,おしげさんの家から、ぬらりと大きな牛が1頭現れた。

「うちのじゃないな・・」

我が家の牛の仕業ではないと知って、とたんにそうべえは、余裕の表情。

「八っあんに、電話してみ」

そうべえにうながされ、おかるは八っあんに電話を入れる。八っあんの家は、すぐ上の高台にあって、2頭だけ子取りの牛を飼っている。その1頭がめずらしく、遊びに降りてきたようだ。

「ほんとだ!逃げてるべや~!」八っあんの家はたちまち大騒ぎだ。

その間、そうべえは逃げた牛の鼻環をとらえ、八っあんの家に向かってゆうゆうと坂道を登り始めた。

「いやいや、どうもどうも・・」

八っあんの家族が、総出で逃亡牛を迎えに出てきた。

そうべえは、無事牛を八っあんに引き渡すと、おしげさんに電話した。

「八っあんとこの牛だったい。ちゃんとうちさ帰ったから」

家出娘は、無事ご帰還となった。めでたし~めでたし~!