湘南の風に吹かれて豚を売る2010/02/24 17:12




養豚農家の長男宮治青年は、慶応を卒業後、いったん会社に就職する。

機は熟し、サラリーマンスーツをぬぎ、自家の「みやじ豚」をブランド化し、ついにはNPO(農家のこせがれねっとわーく)立ち上げる。

自分が出会った人々、農業の直面する問題、そして自らの農業への熱い思いが語られている。

そうべえも、本書を読み、いたく感動していた。

「あれこれ見知ったことを書きたがるものだが、宮治青年は、自分のやってきたことだけを、自分の言葉で書いているところがすごい」という。

おかるの胸には、ずんと響くそうべえの評であった・・。

*今日はたくさん読み、ちょとだけ長編をいじった。

七頭の盲導犬と歩んできた道2010/02/23 17:36




沢田俊子先生の「七頭の盲導犬と歩んできた道」を読む。

日本で女性初の、盲導犬ユーザーとなった、戸井美智子さんの歩みを描いたノンフイクション。

ともに歩んだのは、オデイー、クリス、パンア、アユテイア、ローラ、アリサ、ニルスの7頭の盲導犬。

それぞれに過ごした時間も性格も異なるが、忠実に戸井さんに寄り添い続けた姿は心打たれる。

全盲である戸井さんご自身の、前向きな姿にも勇気を頂く。

アメリカに留学して、英語教師となるほか、盲導犬への社会的な理解を得るため、啓蒙にに尽力された。

そして、戸井さんが歩むべき道の先鞭をつけたお父様の姿勢にも、親として居住まいを正される思いがする。

盲導犬の歴史もよくわかる、感動ノンフイクションです。

先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!2010/02/22 16:32



[先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!小林朋道著」を読む。

動物行動学の小林先生がであった、珍事件(?)の数々。

シマリスは、ヘビ(眠っているか死んでいるもの)の皮膚をかじりとって、自分の体に擦り付けるという。

捕食者の臭いを自らにつけることで、捕食から逃れるそうだ。

研究室のアカネズミが脱走したエピソードには笑えた。

無事お縄になったとき、アカネズミは、巣を作るために先生の机の片隅から封筒を引っ張り出していたそうだ。

なんとその封筒は、すっかり記憶から抜け落ちていた、研究費1万円が入った代物だったとか!

我が家でも、愛兎ラッキーが、口にくわえてきてくれないかな。

そうべえの、へそくりを!(な~んてね!)

*原稿と挿絵ラフの確認作業をした。挿絵の先生は、やぱりすごい!これは、原稿のほうをもっと磨かねば!と思った。



メン!試練の剣2010/02/20 21:14





季節風のお仲間、リュート様の著書を読む。

「メン!出会いの剣』に続く「メン!』シリーズの2作目。

剣道の専門知識もちりばめられ、今回も興味深く読んだ。

監督を巡る皮肉な巡り会わせや、現状を打開しようと頑張る少年達と、サッカーから剣道に転身したからこそ何かが生まれそうな予感が読んでいて心地よかった。

ミクとケンヤとの恋の行方や、ミクのお父さんがどんな剣道哲学をもって関わってくるかも、楽しみなところ。

シリーズ3作目が待ち遠しい。

高田さんの絵も実に良い!凛とした空気が伝わってきます。

狩猟サバイバル2010/02/17 15:30




狩猟サバイバル:服部文祥著を読む。

最低限の米と調味料を持参し、あとの食料は、すべて自分が狩った獲物でまかなうという、サバイバル生活を敢行してきた著者のドキュメント。

獲物は鹿、カモシカ、イノシシ、岩魚からキノコ類まで、さまざま。

しとめた動物は、自分で解体も行い、食す。

「殺生」せずには生きていけないぎりぎりの所まで自分を追い詰めることで、自然と一体化していく自分自身の様子が、客観的な筆致でつづられている。

「体験を手放すと、それにともなう感情まで手放すことになる。「効率」と「快適」を追い求めることで、わたし達の根源的な体験を失ってきたのではないだろうか」との1節に、深く共感する。

*母方の叔父の訃報が入る。たった6才違いの叔父は、心が優しすぎた・・・。母や祖母の胸に抱かれていて欲しい。




単純な脳、複雑な「私」2010/02/10 20:58



脳科学者、池谷祐二著「単純な脳、複雑な「私」」を読む。

はじめに、「手を見れば文系か理系かわかる」という項目で、自分の手をまじまじと見てみた。

薬指より人差し指が短い・・やっぱり、おら、理系だったんだ、と変な納得。(理系の人は薬指より人差し指が短いらしい)

脳の「ゆらぎ」から「創発」がうみだされ、神経細胞の単純な反応の中から複雑な秩序がうみ出される不思議。

脳で脳を考えることは、リカージョン(入れ子構造):前後に置いた鏡の中で、延々と自分が映し出されるようなものであるという不思議。

自分の意志よりも前に、体が動いている(反応している)不思議。

「正しいと思う」は「好きである」こと。直感は意外と正しい、人間は「無限』と「有限」を知る唯一の動物であるなど、経験的にうなずけるものもあった。

自分自身を本書に当てはめれば、忘れ物はするわずっこけまくるわで、なるほど、脳に相当の「ゆらぎ」があるようだ。

今日も、娘が言った「お母さん、サロンでカラーリングしたら?」が、「お母さん、サバのから揚げにしたら?」と聞こえてしまった。

これも、すべて「ゆらぎ」のせいである!(と、きっぱり)。

「ゆらぎ」は「創発」をもたらすという。

創作のネタが降臨するには、おかるのボケも必要条件ということで・・。



てっこうまるはだれでしょう2010/02/07 20:13



イタリア在住の作家、佐藤まどかさんの、2冊目の著書。

”てっこうまる”は、いさましそう名前にもかかわらず、つるんとかぼそい多肉植物です。(真ん中にある小さな鉢植えがてっこうまるです)

わかおくさんのひっこしのときに、なんとゴミ捨て場に置き去りにされてしまいます。

せっかく優しい女の子が拾ってくれても、またまた行き場がなくなり、やっとおばあさんが拾ってくれます。

でも、そのおばあさんもいなくなり・・・!

子供たちも、てっこうまるはどうなっちゃうの!?と、思わずひきこまれることでしょう。

やさしい語り口ながら、ちょっとシュールな所もあって、大人もいっしょに楽しめそう。

個人的には、おばあさん達がもっていた、植物をお話ができる「みどりのゆび」が欲しいです!

まどかさんのHPでも、「牛太郎・・」を紹介していただきました。ありがとうございます!http://www.madoka-sato.com/madokasato-writing.htm