じっちゃん大演説2007/06/06 14:37

農○協の方が、営業に来た。

農○協とは、家の光と並び、農業雑誌の編集と農村文化活動を担っている出版社である。

我が家を訪ねて来たのは、入社して3ヶ月のニューフェイスさん。顔の色が、まるで農業人のように、こんがり焼けている。

獣医さんが来たというので、挨拶もそこそこにそうべえが席をはずす。おかるは、午後からの会議に備え、台所で晩ご飯の仕込みに大忙し。すると・・

「あーつはっはっ!」

静寂を破る、じっちゃんの高笑い。日ごろの声の、1オクターブハイトーン!

(あの若いひと、じっちゃんに気に入られたようだな・・・)

じっちゃんは、日ごろ寡黙である。だが、気に入った相手には、興に乗っておしゃべりがはずむ。

じっちゃんは、カラスの駆除法の本に興味を示していた。

「いやいや、カラスはとんでもないやつらだ。こうやってな、ザザーッと低空飛行すっかと思えば、ババババーと山から飛び出すんだ」

身振り手振りで大熱演。

「あんたに、これ見せっから」

じっちゃんは、ついに、自慢の秘密兵器までズボンのポケットから取り出した。黒光りする、じっちゃんお手製のパチンコだ。

「ほお~!!!」

ニューフェイスさんも、身を乗り出し感嘆の声。

「だいぶもりあがってるようだねえ」

そこへ、そうべえが帰還。ここからは、営業の本題に突入である。

じっちゃんは、そうべえにバトンタッチすると、にこにこ顔で畑へ出かけていった。