どじょう日記

昨夜、夢を見た。

ざわついた心を抱えたまま、朝ごはんの支度をする。

新聞を読み始めたそうべえに、吐露を試みる。

「おら、熊が家にやってくる夢見ちまった・・・」

そう言いながら、このところイノシシや狸やら、野性に出会ってばかりが原因だろう・・と思い当たる。

「おれもだよ」と突然、真顔のそうべえが新聞から顔を上げる。

「え！？」おかるが小さくうめく。

「おれも、以前２度、熊が家にやってくる夢を見た・・・」

「ふ～ん、夫婦も長くやってりゃ、通じるものがあるのかねえ」などと、その場は互いに笑って終わった。

しばらくして長女が起きてきた。

「ゆんべかた、熊の夢見ちまったよ」と、話しかける。

娘はひゅっと眼を開き、「あたしも・・・」と言う。

「うえ！？｝おかる、ふたたびうめく。

これまたどうした偶然なのか・・・・。

星新一のショートばりの展開である。

ちなみに、末娘に問うてみた。

「熊の夢見たことあっか？」

返ってきた答えは、「ぜ～んせん！」・・・・・あらそう？！