さすが!2007/03/25 17:20

「牛が生まれる予定だから、様子見ててくれよな」

そうべえは、おかるにそう告げると、農家組合の寄り合いに出かけていった。

要観察の牛は、昨日分娩予定だった。さらに一年前、初産の子牛を分娩中に死なせていた。要注意度ハイレベルである。

お昼に牛小屋に様子を見に行く。母体からは、いよいよ生まれそうな気配が感じられる。

30分毎に牛舎に行くことにした。何度か通って、一瞬、牛の鳴き声がきこえた。すわ!と、おかるは牛舎へ走った。

「ひゃ~!」

子牛は生まれていた。なのになのに、柵から外へ転がり落ちているではないか。いったいどうやったら、あんなところに産み落とせるのだろうか!!

「たいへんだや~!ちょっときてけろ」

おかるは、、じっちゃんを呼びにハウスへ走った。

じっちゃんは、状況を見て取ると、子牛の背中を長靴でぐいぐいと押した。

(ぎょえ~!じっちゃん、生まれたばかりの子牛に何するだ?)

じっちゃんは、有無をいわさず、子牛をぐいぐいと柵の中に押し込んでいく。子牛は、目を白黒させてひっくり返る。それでもじっちゃんは子牛の御尻を、ぐいぐい押す。

おかるが呆然と眺める間に、子牛は無事は母牛の足元に転がっていった。

「元気な子牛だ。だいじょうぶだべ」

じっちゃんは、子牛の背中に藁をあてがうと、またハウスへ戻っていった。

じっちゃんの年の功はさすがである。生まれたばかりで、大冒険の数々をこなす我が家の子牛達も、さすがである!