真心の対価2007/05/13 20:12

このところ、竹の子が続々伸びて、竹の子の行き先に苦労する。

瓶詰めも十分。近所や親戚にも配った。

「直売所ができたら、売ってやったらいいべね」

近々できるという直売所のことが、ふと、おかるの頭をかすめた。

「はて?そうかな?ちょっと考えてみなされ」

そうべえは、禅問答をしかけるような眼差しで、おかるに向き合う。

「直売所を始めると、農家の人の顔つきは険しくなるという」

「売れるものを必死でかき集めるものね」

「この竹の子を直売所で1本100円、200円で売ってしまう。それとも、ご近所にさしあげて喜んでもらう。さて、どちらが良いだろうか?」

目の前には、近所のきえいさんが、竹の子のお礼にと持ってきたビールの箱がど~んと置いてある。

「この場合は、近所に上げたほうが良いわね」

「気持ちを配るのと同じだからな。これぞ、真心の対価である」

そうべえの顔には、さっそくありがたい「真心の対価」を晩酌に飲む腹積もり・・・と書いてあった。