トリック ― 2007/05/01 20:32
昨日の夏のような暑さから一転、肌寒い曇天となった。
「今日の水掛は、さらっとででいいな」
ハウスは寒気が入り込まないように、ぴっちり閉めてある。
おかるは、入り口のビニールをほんの少しめくりあげ、腰をかがめて育苗ハウスにもぐりこんだ。
水をかけ始めて、パタパタ・・パタパタ・・という音に気づく。
スズメが二羽、出口を求め、ハウスの天井で飛び回っていた。
昨日は暑さを逃すためにハウスは開放していた。ひょんな拍子でとびこんだスズメに気づかぬまま、そうべえがぴっちりビニールを閉じたに違いない。
(扉を開いて逃がしてやるか・・いや、水掛が終わってからでも遅くはあるまい)
パタパタ・・パタパタ・・。羽音に気ぜわしい思いをしながら水掛を終える。
さて、スズメ達を逃がしてあげよう・・と思ったら、どういうこと?スズメの姿は、いつの間にか消えていた。
ハウスの中は、入り口の戸もぴっちり閉められた密室状態。
夢幻のごとく姿を消したスズメたち。どんなトリックを使ったの!?
「今日の水掛は、さらっとででいいな」
ハウスは寒気が入り込まないように、ぴっちり閉めてある。
おかるは、入り口のビニールをほんの少しめくりあげ、腰をかがめて育苗ハウスにもぐりこんだ。
水をかけ始めて、パタパタ・・パタパタ・・という音に気づく。
スズメが二羽、出口を求め、ハウスの天井で飛び回っていた。
昨日は暑さを逃すためにハウスは開放していた。ひょんな拍子でとびこんだスズメに気づかぬまま、そうべえがぴっちりビニールを閉じたに違いない。
(扉を開いて逃がしてやるか・・いや、水掛が終わってからでも遅くはあるまい)
パタパタ・・パタパタ・・。羽音に気ぜわしい思いをしながら水掛を終える。
さて、スズメ達を逃がしてあげよう・・と思ったら、どういうこと?スズメの姿は、いつの間にか消えていた。
ハウスの中は、入り口の戸もぴっちり閉められた密室状態。
夢幻のごとく姿を消したスズメたち。どんなトリックを使ったの!?
そうべえ、山菜採りの翁となる ― 2007/05/02 20:57
しばらく前から目をつけておいた「ぜんまい」。
「おかるや、ぜんまいのこしらえかた、知ってるか?」
「うんにゃ、知らないよ。でもまかしとき!インターネットで検索しとくから」
おかるの言葉を信じて、そうべえは、牛舎わきの山に、ぜんまい採りに出かけた。
急勾配の山にへばりつくようにして、登っていく。
あったあった!腰に結わえたかごの中に、摘んだぜんまいを入れていく。
お!今度は、たらの芽だ。やや!山ウドも出ている。
そうべえは、腰かご一杯の山菜に、ほくほくで家に帰った。
晩御飯ぎりぎりに、おかるが母屋にやってきた。鍋を火にかけ、ぱたぱたと忙しく味噌汁の用意を始めた。
そうべえは、おかるの背中越しに声をかける。
「ぜんまい、とって来たぞ」
「え?!今からこしらえろって言うのかい!?」
おかるの声はとがっている。そうべえの前に、急ごしらえの味噌汁が、とん!と置かれた。
そうべえは味噌汁の色をまじまじと見つめる。はっきり言ってうすい!
そうべえは、塩味の足りない味噌汁とともに、文句もぐっと飲み込んだ。
晩御飯がすんでも、台所ではおかるが忙しそうに動いている。ほどなく、
「ぜんまい、ばっちりこしらえたよ!」
大仕事をしたとばかりの、おかるの声。山菜採りの翁は、ほっと安堵のため息をついたのであった。
「おかるや、ぜんまいのこしらえかた、知ってるか?」
「うんにゃ、知らないよ。でもまかしとき!インターネットで検索しとくから」
おかるの言葉を信じて、そうべえは、牛舎わきの山に、ぜんまい採りに出かけた。
急勾配の山にへばりつくようにして、登っていく。
あったあった!腰に結わえたかごの中に、摘んだぜんまいを入れていく。
お!今度は、たらの芽だ。やや!山ウドも出ている。
そうべえは、腰かご一杯の山菜に、ほくほくで家に帰った。
晩御飯ぎりぎりに、おかるが母屋にやってきた。鍋を火にかけ、ぱたぱたと忙しく味噌汁の用意を始めた。
そうべえは、おかるの背中越しに声をかける。
「ぜんまい、とって来たぞ」
「え?!今からこしらえろって言うのかい!?」
おかるの声はとがっている。そうべえの前に、急ごしらえの味噌汁が、とん!と置かれた。
そうべえは味噌汁の色をまじまじと見つめる。はっきり言ってうすい!
そうべえは、塩味の足りない味噌汁とともに、文句もぐっと飲み込んだ。
晩御飯がすんでも、台所ではおかるが忙しそうに動いている。ほどなく、
「ぜんまい、ばっちりこしらえたよ!」
大仕事をしたとばかりの、おかるの声。山菜採りの翁は、ほっと安堵のため息をついたのであった。
河川敷物語 ― 2007/05/03 20:30
河川敷を借り受け、牧草を作っている。
晴天続きの予報を受け、そうべえは急ピッチで草刈りを進める。乾いた風と日差しで、刈ったそばから草が乾き始める。
でこぼこの草地ゆえに、トラクターの振動が体にこたえる。
昼過ぎまで休み無しで草を刈り続ける。そこへ、おかるが、弁当を持ってやってきた。
トラクターを止め、土手で弁当を食べる。トラクターのエンジン音が消え、ひばりのさえずりが、なんとも耳に心地よい。辺りは、刈ったばかりの青臭い草の香りで満ちている。
お昼休みで活力を取り戻し、草の反転作業を農家仲間のしげやんにバトンタッチ。良い乾草が取れそうだな・・と家で作業をしていると、しげやんから悲しい知らせが届く。
そうべえが刈った草地に、狐が倒れていたという。草刈の機械にあたったらしい。
「あんた、明日、線香持って行きなよ・・・」
「うん・・・」
そうべえは、狐を思った。そして、なんとも苦い気持ちがしたのであった。
晴天続きの予報を受け、そうべえは急ピッチで草刈りを進める。乾いた風と日差しで、刈ったそばから草が乾き始める。
でこぼこの草地ゆえに、トラクターの振動が体にこたえる。
昼過ぎまで休み無しで草を刈り続ける。そこへ、おかるが、弁当を持ってやってきた。
トラクターを止め、土手で弁当を食べる。トラクターのエンジン音が消え、ひばりのさえずりが、なんとも耳に心地よい。辺りは、刈ったばかりの青臭い草の香りで満ちている。
お昼休みで活力を取り戻し、草の反転作業を農家仲間のしげやんにバトンタッチ。良い乾草が取れそうだな・・と家で作業をしていると、しげやんから悲しい知らせが届く。
そうべえが刈った草地に、狐が倒れていたという。草刈の機械にあたったらしい。
「あんた、明日、線香持って行きなよ・・・」
「うん・・・」
そうべえは、狐を思った。そして、なんとも苦い気持ちがしたのであった。
原始の記憶 ― 2007/05/04 23:23
夜、息子の帰省に合わせて、庭でバーベキューをした。
息子たち、新大学生の話に耳を傾ける。友人T君は、朝はご飯にふりかけ、昼はご飯に卵、夜はご飯に納豆という、生活だという。学食暮らしの息子はまだまだ天国である。
「栄養補給だ。食え食え!」
大人たちは、若かりしころへのなつかしさと、若者への同情をつまみに、酒が進む。
バーベキューが終わる頃、夏の様に暑かったのがうその様に、吐く息が白くなる。
コンロ代わりのドラム缶に、焚き火を焚いて暖を取る。ちょっとしたキャンプモード。
薪木から、ちょろちょろと噴出す炎の踊り。
焚き火を囲む人々の顔が、ゆらめく赤い色に染まる。
たちのぼる白煙は、星空に吸い込まれていく。
しばし、焚き火に惹きこまれ、原始の記憶を皆で共有した。
息子たち、新大学生の話に耳を傾ける。友人T君は、朝はご飯にふりかけ、昼はご飯に卵、夜はご飯に納豆という、生活だという。学食暮らしの息子はまだまだ天国である。
「栄養補給だ。食え食え!」
大人たちは、若かりしころへのなつかしさと、若者への同情をつまみに、酒が進む。
バーベキューが終わる頃、夏の様に暑かったのがうその様に、吐く息が白くなる。
コンロ代わりのドラム缶に、焚き火を焚いて暖を取る。ちょっとしたキャンプモード。
薪木から、ちょろちょろと噴出す炎の踊り。
焚き火を囲む人々の顔が、ゆらめく赤い色に染まる。
たちのぼる白煙は、星空に吸い込まれていく。
しばし、焚き火に惹きこまれ、原始の記憶を皆で共有した。
こどもの日のプレゼント! ― 2007/05/05 17:25
息子に、新しい携帯をプレゼント!
こどもの日のプレゼントになった。(財布が痛い・・。)
何のことはない、ズボンのポケットにいれっぱなしの携帯を、洗濯機でガラガラ洗ってしまったのである。
高いプレゼントになってしまった・・。
こどもの日のプレゼントになった。(財布が痛い・・。)
何のことはない、ズボンのポケットにいれっぱなしの携帯を、洗濯機でガラガラ洗ってしまったのである。
高いプレゼントになってしまった・・。
幸せは美味しい料理から ― 2007/05/06 21:05
やっと竹の子が出てきた。
平年より、出足が遅い。
ぞくぞく出る竹の子に、料理のレパートリーが追いつかない。
昨日は竹の子にカツオだしを効かせ、わかめとあわせてみた。
今日は、小女子とニシンにあわせてみた。
それでもまだ竹の子が余っているので、がま姉さんに教えてもらった、竹の子の肉まきを作ってみた。
竹の子の輪切りに、豚肉を撒いて、プライパンで焼き付け、みりんと醤油でさっと味を漬ける。
「うまいねえ~!手間がかかっているね~!」
帰省していた子供たちが皆戻ってしまい、気の抜けたそうべえの顔も、やっとほころぶ。
今夜も雨が降り続く。
今頃山の中では、ぞくぞくと音を立てて、竹の子が伸びていることだろう。
平年より、出足が遅い。
ぞくぞく出る竹の子に、料理のレパートリーが追いつかない。
昨日は竹の子にカツオだしを効かせ、わかめとあわせてみた。
今日は、小女子とニシンにあわせてみた。
それでもまだ竹の子が余っているので、がま姉さんに教えてもらった、竹の子の肉まきを作ってみた。
竹の子の輪切りに、豚肉を撒いて、プライパンで焼き付け、みりんと醤油でさっと味を漬ける。
「うまいねえ~!手間がかかっているね~!」
帰省していた子供たちが皆戻ってしまい、気の抜けたそうべえの顔も、やっとほころぶ。
今夜も雨が降り続く。
今頃山の中では、ぞくぞくと音を立てて、竹の子が伸びていることだろう。
相棒 ― 2007/05/07 20:13
長年連れ添った、ピンクの長靴とお別れした。
水漏れがして、これからの田植え作業を共に乗り切れないからだ。
新しい長靴を買いに出かけた。
サイズも履いた感じも、しっくり来るものがなく、歩き回って3軒目。
ついに、ぴったりの靴にめぐり合う。(シンデレラ気分で!)
今度は、しっくな紺色だ。
いい長靴にめぐり合い、気持ちも浮かれて、農作業用の日よけ帽子とゴムてぶくろも新調した。
ついでに、ラベンダーの鉢を3個に、薄めた液体石鹸が泡に変って出てくる、「魔法ボトル」なるものまで、購入した。
相棒がずらりとそろい、なんとも心強い。
水漏れがして、これからの田植え作業を共に乗り切れないからだ。
新しい長靴を買いに出かけた。
サイズも履いた感じも、しっくり来るものがなく、歩き回って3軒目。
ついに、ぴったりの靴にめぐり合う。(シンデレラ気分で!)
今度は、しっくな紺色だ。
いい長靴にめぐり合い、気持ちも浮かれて、農作業用の日よけ帽子とゴムてぶくろも新調した。
ついでに、ラベンダーの鉢を3個に、薄めた液体石鹸が泡に変って出てくる、「魔法ボトル」なるものまで、購入した。
相棒がずらりとそろい、なんとも心強い。
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