河川敷物語2007/05/03 20:30

河川敷を借り受け、牧草を作っている。

晴天続きの予報を受け、そうべえは急ピッチで草刈りを進める。乾いた風と日差しで、刈ったそばから草が乾き始める。

でこぼこの草地ゆえに、トラクターの振動が体にこたえる。

昼過ぎまで休み無しで草を刈り続ける。そこへ、おかるが、弁当を持ってやってきた。

トラクターを止め、土手で弁当を食べる。トラクターのエンジン音が消え、ひばりのさえずりが、なんとも耳に心地よい。辺りは、刈ったばかりの青臭い草の香りで満ちている。

お昼休みで活力を取り戻し、草の反転作業を農家仲間のしげやんにバトンタッチ。良い乾草が取れそうだな・・と家で作業をしていると、しげやんから悲しい知らせが届く。

そうべえが刈った草地に、狐が倒れていたという。草刈の機械にあたったらしい。

「あんた、明日、線香持って行きなよ・・・」

「うん・・・」

そうべえは、狐を思った。そして、なんとも苦い気持ちがしたのであった。

コメント

_ piano ― 2007/05/03 21:00

狐が自然にいるとは驚きました。
こちらでは見たことがありません。
狐のほうで逃げてくれたらよかったのにと思います。
せっかく仕事をしたのに・・・

_ どじょう ― 2007/05/03 22:34

この狐とそうべえは、なじみの仲でした。2頭のうち、1頭が逃げたのですが、1頭は運悪く・・。さびしいです。

_ がまりん ― 2007/05/06 06:11

キツネには気の毒なことでしたね。
夫婦ギツネだったのでしょうか・・・
私も山道で、車にひかれたキツネとタヌキをみました。
山あいには、やっぱりいるものですね。あと、サルもいますよ。

悲しくかわいそうですが、冥福を祈りましょう。

_ どじょう ― 2007/05/06 09:50

>がまりんさん
実は、後日談もあります。次の日そうべが河川敷に行くと、狐のなきがらはどこにもありませんでした。連れ合いが持っていったのでしょうかね・・。

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