そうべえ、危機一髪!2007/10/11 21:01

「こんなになっちまった・・・」

と、そうべえがズボンをたくし上げると、太ももや脛に、赤い擦り傷とあざが・・!

「お前さん、どうしたんだい!?」

目をむくおかるに、そうべえ事の顛末を語って聞かせた。

そうべえ、生まれたばかりの子牛が柵の外に出ているのに気づく。押し込んでやってもよかったが、子牛を抱き上げ、部屋に入る。とたんに、興奮した母牛にドンと突き飛ばされ、仰向けにひっくり返ったそうべえの上を、体重400キロの牛が、2度も踏みつけて行ったという。

「もう、あの時は決まったかと思った・・」そうべえも、今生きているのが奇跡とでも言いたげ。

「牛に踏まれて、この程度済むとはねえ!?」おかるも絶句。

「あいつらも、加減して全体重はかけないんだな」そうべえも、ため息。

(おらの亭主になんつうことするんだや!)おかる、憤懣やりきれなく牛舎に駆けつけ、下手人の顔にカメラを向けた。

とたんに、母牛はおかるに向かって突進し、目の前でブフア!と鼻息を鳴らして見せた。

おかるも、迫力に気おされ、ひっくり返りそうになる。

しかたなく、すごすご牛舎から引き上げた。

夜に牛舎に行くと、そうべえ、例の母牛にかいがいしく藁を食わせていた。

「こいつ、子牛を守ろうとする本能が強いタイプなんだなあ・・」

おかる、そうべえの言葉に、牛飼いの冷静さと慈悲を感じたのであった。

コメント

_ こちらのまです ― 2007/10/11 23:36

どじょうさま。
お久しぶりでございます。(早くナマどじょうさまにお会いしたいです)
季節風の作品、これから読ませて頂きます。
どじょうさまの作品を読むと、自作の拙さを思い知らされるので、も、ちょっと、したら読みます。(はい、深呼吸、すー、はー…)
牛の力と愛情にびっくりいたしました。
そういえば、と思い出したのが、知人の昔の話。
農業学校の教師であったころ、学校で世話していた牛にひっくり返されて、
足だったか腕だったか、骨折。 そのときはまさか、と思いましたが、(私の、牛の知識が皆無で)
この日記を読み、うう〜ん、牛、すごいぞ、と今さらながら思いました。
生き物は、みんなみんな、生きているんだ♫…じゃなかった、力強い。
私もがんばろ。

_ mie ― 2007/10/12 08:12

子供がいる動物は警戒心がすごいです
体が資本 充分注意をしてお仕事されてください

亭主のために走っていって写真におさめたおかるもしゅごい!! こいつが犯人か!!
しかし 黒びかりした牛 りっぱですにゃー

_ どじょう ― 2007/10/12 10:39

>こちらのまですさま  もうすぐ。生のぴちぴちフレ~ッシュなこちらのまですさんに、お会いできますね!
牛と一緒にいると、本当にいろんなことが起きます。油断も禁物。友人の方も、大変なめに会いましたね。

 牛たちが、「生きる」って事を日々教えてくれてます。

〉mieさま どの世界でも、母は強し!ですねえ。
例の母牛も今ではすっかり落ち着きました。

何があるかわからない、牛飼いの世界。牛舎からそうべえがなかなか戻ってこないときは、おかるはちゃんと様子見にいくんですよ。

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